一般の火災保険では、「火災、落雷、破裂・爆発」による被害が基本補償に含まれています。火災については何となく分かっていても、落雷と破裂・爆発はピンとこないのではないでしょうか。しかし意外と身近な災害だったりするので、知っていて損はありません。
今回は火災保険の基本補償のうち、落雷と破裂・爆破の補償について解説します。
目次
1. 落雷
まずは落雷の補償について解説します。
近年の落雷被害と落雷による保険金支払い
近年、自然災害の数は増えてきており、ゲリラ豪雨やゲリラ雷雨も増加しています。気象庁の「落雷害の報告数(2005年~2017年)」によれば、2005~2017年の間で気象官署から報告のあった落雷による被害件数は1,540件。そのうち約30%の468件が、8月に集中しています。発生地域別では太平洋側で約65%、日本海側で約35%の発生。4~10月は太平洋側で多く、11~3月は日本海側で多くなる傾向にあります。
落雷なんてめったに被害に遭うことはないだろうと思われるかもしれませんが、実は落雷による保険金の支払い件数は、火災による支払い件数より多いのです。損害保険料率算出機構「火災・地震保険の概況2021年度(2020年度統計)」によれば、保険金の支払いが発生した落雷事故の件数は36,831件で、火災と破裂・爆発を合わせた7,618件よりも多くなっています。
このように落雷被害は意外に多く発生しており、決して他人事だとは言えないのです。
落雷の補償範囲は?
落雷にあった場合、建物や乗り物の中にいれば基本的に身は守られますが、発生した落雷が火災の原因となり、建物や家財が損害を受けてしまうおそれは十分にあります。火災保険では、こうした落雷による損害を補償してもらうことができます。
火災保険では、補償対象を「建物のみ」「家財のみ」「建物+家財」の3パターンから選んで加入します。どのパターンで加入するかによって、落雷被害にあったときに補償される範囲が異なります。
【落雷の損害例】
火災保険で補償される落雷の損害には、次のようなケースがあります。
◎建物の損害例
・建物に雷が落ちて屋根に穴があいた、外壁が損傷した
・建物に雷が落ちて火災事故となった
◎家財の損害例
・近くの電柱に雷が落ちてテレビやパソコンなどの家電が壊れた
・落雷による火災で家財が損害を受けた
落雷による被害は、建物に直接雷が落ちて屋根や柱が損傷するケースだけでなく、家の近くの電柱などに落雷して電流が電線や電源線などを伝って室内に入り込み、過電流のために家電が故障するといったケースもあります。
落雷で建物や家財に損害を受けると、修理にかかった費用が保険金として支払われます。家電製品など修理できないものの場合は、同等の製品を購入した額が補償額となります。パソコンの場合、パソコン本体の修理費用は補償の対象となりますが、保存されていたデータやソフトウェアは火災保険の補償対象外なので注意が必要です。
2. 破裂・爆発
次に、破裂・爆発の補償について解説します。
破裂・爆発の事故はどのくらい起きている?
破裂・爆発は、正確には「気体または蒸気の急激な膨張を伴う破壊またはその現象」のことになります。
消防庁の「令和元年版 消防白書」によると、平成30年度中に発生した都市ガスおよび液化石油ガス(LPG)の漏えい事故または爆発・火災事故のうち、消防機関が出動した総件数は862件。その中で爆発・火災は、全体の30.7%である265件となっています。
火災保険の保険金が支払われる事故全体から見ると非常に少なく、珍しい事故だと言えるでしょう。
破裂・爆発の補償範囲
火災保険の破裂・爆発の補償は、破裂・爆発そのものの損害や、被爆によって発生する損害に対する補償になります。ガスコンロの爆発や、ガス漏れによる破裂・爆発の損害などが当てはまります。いっぽう、破裂・爆発による火災損害は、「火災」で補償されることとなります。
◎破裂・爆発の事故事例
・ガスコンロ内で爆発が起き、衝撃で家の壁が破損した
・調理中にカセットコンロのボンベが爆発した
・スプレー缶が爆発し、家電が壊れた
補償の対象外となるケース
被保険者の故意や法令違反による破裂・爆発は、火災保険の補償対象外です。例えば、古いカセットコンロを使用した、火に向かってスプレー缶を使用した、など重大な過失に該当する行為によって損害が生じても、火災保険金は支払われません。
また解説したように、火災保険でカバーされる破裂・爆発は「気体または蒸気の急激な膨張を伴う破壊またはその現象」のこと。そのため、同じ破裂でも水道管が凍結して破裂したような場合は、破裂・爆発では補償されません。水道管が凍結して破裂した場合には、修理代は水道管修理費用保険金で、水漏れによる損害は水濡れ補償で補償されます。
まとめ:夏は落雷事故に備えよう
一般的に火災保険の基本補償には、火災のほか落雷や破裂・爆発に対する補償も含まれています。特に落雷は火災よりも事故件数が多くなっているため、落雷や破裂・爆発への補償内容について確認し、いざという時に慌てないようにしておきましょう。
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株式会社 回遊舎(編集・制作プロダクション)
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