火災保険

公開:2022.01.31

更新:2022.06.30

火災保険の基本補償:破損・汚損(不測かつ突発的な事故)編

今回ご説明するのは、火災保険の基本補償のうち破損・汚損の補償についてです。この補償は、「子どもが走りまわってテレビを壊してしまったとき」などに利用できて便利ですが、知らないと補償の申請をしそこねることもあります。どんな補償内容なのか、しっかり覚えておきましょう。

1. 破損・汚損ってどんなもの?

火災保険の破損・汚損の補償とは、自然災害や盗難などの補償以外の、不測かつ突発的な事故によって発生した損害に対するものです。

簡単に言うと、故意ではなくうっかり起こしてしまった、偶然の事故によって建物や家財を壊してしまった場合などに、保険金を受けとることができる補償です。保険会社によっては、不測かつ突発的な事故という名称で呼ばれていることもあります。

基本的なリスクに限定して補償する住宅火災保険や、総合的なリスクを補償する住宅総合保険など、旧来の火災保険ではどの保険会社の商品も補償内容や保険料に差はなく、破損・汚損の補償もありませんでした。

しかし最近では、異なる特徴を持った火災保険が主力になっています。火災、落雷、破裂・爆発などの補償以外にも、破損・汚損など偶然性が担保されれば補償範囲となる、オールリスク型と呼ばれる幅広い損害を補償する商品が増えているのです。

また破損、汚損等を補償範囲に含めると日常的な事故リスクは広範囲でカバーできますが、保険料が高くなるデメリットもあります。

2. 破損・汚損の対象となる具体例

では、具体的に破損・汚損はどのようなときに対象となるのでしょうか。

  • 室内を清掃中、誤って椅子を倒し、ガラス戸を壊してしまった
  • 模様替えのため室内で家具を移動中、誤って間仕切り壁にぶつけ、壁を傷つけてしまった
  • 部屋の中で子ども同士がふざけていて、液晶テレビにぶつかり画面を壊してしまった

「不測かつ突発的な事故」と言われるとピンときませんが、こういった例を見るとイメージが沸くのではないでしょうか。自分の不注意だけでなく、子どものうっかりで起きた事故も補償されるのは、小さな子どものいる親にはありがたいでしょう。

不測かつ突発的な事故といっても、すべてがこの補償の対象となるわけではありません。例えば、火災や台風、漏水、盗難なども不測かつ突発的な事故ですが、火災保険にはこれらをカバーする補償がほかにあるため、破損・汚損の補償範囲からは除外されています。

破損・汚損の補償は、基本的には誤って何かを壊してしまったケースが該当すると覚えておくとよいでしょう。

3. 補償が受けられないケースとは?

破損・汚損の補償に含まれるかどうかの細かい規定は、各保険会社によって異なりますが、一般的に以下のケースでは補償の対象外となります。

・経年劣化の場合
すでに説明したように、破損・汚損の補償は不測かつ突発的な事故を対象とするものです。そのため、経年劣化による損傷については含まれません。

・故意に破損・汚損させた場合
故意に破損・汚損させた場合は、補償の対象にはなりません。手近にあるものを投げつけてテレビを壊してしまった場合などは、補償の対象外になります。また、同じフローリングの傷でも、誤って物を落として傷つけてしまった場合は補償の対象内ですが、傷つくことが分かっているのに家具などを引きずってつけた傷は、補償の対象外となります。

・損傷が小さい場合
物の損傷が小さく機能に問題がない場合、保険金は受け取れません。例えば、うっかり物を落としてフローリングが傷ついてしまったとしても、擦り傷が付いたくらいであれば補償はされません

・スマホやメガネが壊れた場合
不測かつ突発的な事故であっても、スマホやメガネなど、頻繁に身に着けているようなものが壊れた場合は補償の対象外です。スマホやメガネの故障は件数も多いため、免責項目に含まれています。

・自宅外で壊した場合
自宅の外で発生した事故が原因で損害が出た場合も、補償の対象外となるので注意しましょう。

4. まとめ:余裕があれば破損・汚損の補償の検討を

破損・汚損は、日常生活が完全に送れなくなるような事故とはいえないため、火災保険の基本補償の中では優先順位が低めです。保険料を節約したい人は補償を外してもよいかもしれませんが、使い勝手のよい補償でもあるので、余裕があれば加入をおすすめします。

建物や家財を「うっかり壊してしまった」場合、自分でどうにか直してしまう人も多いかもしれませんが、そうするとせっかく補償対象だったのに保険を使わないという、もったいないことにもなりかねません。補償されるケースは意外と多いので、火災保険に破損・汚損の補償を付けている場合は、家財が壊れてしまったときなどには積極的に保険会社に問い合わせてみましょう。

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株式会社 回遊舎(編集・制作プロダクション)

金融を専門とする編集・制作プロダクション。多数の金融情報誌、ムック、書籍等で企画・制作を行っています。保険、身近な家計の悩み、投資、税金、株など、お金に関する幅広い情報を初心者にもわかりやすく丁寧に解説します。

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