空から降ってくる災害にはさまざまな種類があり、強風、大粒の雹(ひょう)、大雪のような自然災害のほか、野球ボールが飛んできて窓が割れてしまった、というケースもあります。この記事では、そんな時に役立つ火災保険の基本補償「風災・雹災・雪災」と「落下・飛来・衝突」について、詳しく見ていきます。
目次
1. 風災・雹災・雪災
まずは、風災・雹災・雪災について解説します。
風災・雹災・雪災の被害はどのくらい?
竜巻でマンションの窓が割れて部屋がめちゃくちゃになった、大粒の雹が降った、大雪で家から出られなくなった、といったニュースを目にすることが増えてきました。これらの被害が多いことは、なんとなく実感されている人が多いのではないでしょうか?
損害保険料率算出機構の「火災保険・地震保険の概要2021年度版」によれば、2020年に保険金が支払われた風災・雹災の件数は29万4,833件、雪災の件数は5万5,489件でした。
全事故種別の合計が72万6,154件ですので、風災・雹災・雪災で全体のおよそ48%を占めているということになります。もちろんこれらの件数は年によって変わりますが、この3つの災害は基本的に件数が非常に多い傾向があります。
風災・雹災・雪災の補償
火災保険では「風災」、「雹災」、「雪災」の3つの災害が、一般的にひとまとめにして扱われています。加入している火災保険で「風災・雹災・雪災」の補償がカバーされていれば、これらの自然災害によって損害がでたときに、保険金を受け取ることができるでしょう。
強風が吹きやすい山の近くに住んでいる、北陸の豪雪地帯に住んでいるなど、損害が起こりすい地域に住んでいるのであれば、この補償が役立つ場面が多そうです。
なお火災保険では、「建物のみ」「家財のみ」「建物と家財」の3パターンから選んで加入します。それによって、補償される範囲も変わってきます。建物のみであれば、家そのものへのダメージは補償されますが、家具や家電は補償されず、反対に家財のみであれば、家の中のものしか補償されません。
風災とは?
風災とは、台風、旋風、⻯巻、暴風などによる損害のことです。例えば、台風による強風で屋根瓦が飛ばされてしまった場合や、強風で飛んできた石によって窓ガラスが割れた場合などは、風災となります。ただし、台風による損害でも、大雨による床上浸水などは「水災」として取り扱われます。
◎風災の具体例
・台風による強風で屋根瓦が破損した
・台風により窓ガラスが破損し、建物内の家財が濡れてしまった
・⻯巻の影響で飛んできた物が壁にぶつかり、壁に穴があいてしまった
・強風の影響で車庫の骨組みが傾いた
雹(ひょう)災とは?
雹災とは、雹または霰(あられ)による損害のことです。そもそも雹とは、積乱雲から降る直径が5mm以上の氷の粒ことで、5mm未満の大きさのものは霰(あられ)となります。雹は積乱雲の中で発生するので夏の時期に降りやすいのが特徴で、雹によって窓ガラスが割れた場合は雹災に該当します。
◎雹災の具体例
・雹が降って天窓のガラスが割れた
・雹が降って太陽光発電が破損した
雪災とは?
雪災とは、豪雪による損害、雪の落下による事故、雪崩(なだれ)により生じた損害などのことです。雪災は地域的な要因が大きい自然災害で、当然ですが沖縄など雪が降らない地域で被害は起きませんし、東北などの豪雪地帯では被害が多発します。
例えば、雪の重みで屋根が落ちた場合は雪災に該当します。ただし雪が原因の災害であっても、雪解けで発生した洪水は雪災ではなく「水災」の補償範囲になるため、水災補償を付けていなければ補償外だという点には気を付けましょう。
◎雪災の具体例
・雪の重みで雨どいが破損した
・豪雪によって屋根が落ちた
・雪崩によって家が倒壊した
2. 落下・飛来・衝突
次に、落下・飛来・衝突について解説します。
落下・飛来・衝突に該当する被害とは?
落下・飛来・衝突の補償とは、文字どおり何らかの物体が落ちてきたり、飛んできたり、衝突してきたりして、対象の建物や家財に損害が発生したときに保険金が受け取れる補償です。ボールが外から飛んできて自宅の窓ガラスが割れた場合などは、落下・飛来・衝突に該当します。
◎落下・飛来・衝突の具体例
・自動車の当て逃げで壁を壊された
・飛んできた野球ボールで窓ガラスが割れた
・ドローンの落下・衝突で太陽光発電パネルが破損した
・ヘリコプターから荷物が落ち、建物に損害を受けた
・近くのビルから看板が落下して建物・家財に損害を受けた場
上記で述べたように、強風によって飛ばされたものが当たって自宅に損害が出た場合は「風災」として扱われるため、風災補償で補償を受けることになります。
例えば、石が外から飛んできて窓ガラスが割れたというケースでは、原因が風災にあるのか、それとも石を投げ込んだ人にあるのかによって、受け取れる補償の種類が変わってくるということです。
スプレーによる落書きも補償されることがある
意外かもしれませんが、自宅にスプレーで落書きをされてしまった場合、保険会社の判断にもよりますが、落下・飛来・衝突の補償を受けられる可能性があります。スプレーの塗料が飛来してきた、というふうにも考えられるからです。
ただしスプレーではなくペンキで落書きをされた場合、塗料が飛来したと考えることができないため、基本的に落下・飛来・衝突では補償を受けることができません。
まとめ:災害リスクを考慮して補償を検討しよう
風災・雹災・雪災の補償は、火災保険の中でも最も支払い頻度が高い補償です。住んでいる地域によってリスクの大小が異なりますが、必要度が高ければ補償を付けておくと安心です。いざというときに困らないためにも、補償範囲などをあらかじめ確認しておきましょう。
落下・飛来・衝突の補償は、その名前から「飛んできたり、ぶつけられたりしたことによる被害」だと想像しがちですが、自宅に落書きをされたときなどでも、活用できる可能性があります。すでに加入している場合、落書きが補償の対象になるか、契約している保険会社に確認してみましょう。
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株式会社 回遊舎(編集・制作プロダクション)
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