過去最大級の台風や記録的な大雨による大規模な水災に風災、日本でも自然災害による被害が近年急増しています。甚大な被害状況をテレビや新聞で目にして、「この被害は、保険で補償されるのだろうか?」と不安に思った人もいるのではないでしょうか?
自然災害の補償可否は、火災保険の契約条件によって異なります。とはいえ自然災害のリスクを恐れて補償を手厚くしすぎると、保険料がかさんでしまいます。そこで、まずはハザードマップなどで自宅周辺の災害リスクをチェックすることから始めましょう。
目次
1. 自宅周辺の土地災害のリスクをデータから確認しよう
新しく家を買うときは、駅からの近さ、日当たり、周辺施設や治安などのほか、その土地の地盤や、過去の災害歴などもチェックする人が多いでしょう。いっぽう、親や祖父母の代から住んでいる家で暮らしている人などは、「このあたりで大きな災害があったことはない」という話を聞いていて、安心しているかもしれません。
しかし今まで災害の被害のなかった地域でも、過去に例のない被害を受けてしまうケースが増えています。そのため、とくに台風や大雨により近年被害が増えている洪水・土砂災害のリスクに関しては、国土交通省が公開している「ハザードマップポータルサイト」で最新情報を確認しておくことが大切です。このサイトでは、住んでいる市区町村を入力すると、その土地にどんな災害が起きる危険性があるのか、どこへ避難すればよいのかを調べることができます。
また、2020年9月に開設された「内閣府防災」の活用もおすすめです。LINEで「内閣府防災(@bosai)」を友だちに追加すると、「重ねるハザードマップ」を見ることができます。住所を入力すると、洪水、土砂災害、高潮、津波、道路防災情報、地形分類、の6項目から選んで情報を簡単に得られます。LINE経由だと、より気軽にチェックできますね。
このほか、Twitterで「内閣府防災@CAO_BOUSAI」をフォローすれば、災害関連の最新情報をすばやく入手できます。
2. 地震被害についても確認を!
東日本大震災以降、地震への備えの意識は一段と高まりました。「自分の住むエリアは大丈夫だろうか?」と気にしている人も多いでしょう。南海トラフ地震の30年以内の発生確率(マグニチュード8~9クラス)は70~80%(2020年1月24日時点) と、その数字の高さから多くの人が懸念しています。また巨大地震ほどではなくても、生活を脅かすような大きさの地震が発生して被害を受ける可能性もあります。
全国地震動予測地図を見ておくと、将来の地震リスクを調べられます。これは、近い将来日本で発生する恐れのある地震の強い揺れを予測し、結果を地図にしたものです。なかでも、今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を地図として表したデータは、ぜひ確認しておくことをおすすめします。そして確率が高い地域に自宅がある場合は、それなりの備えをしておいた方がよいでしょう。
大地震というと、東日本大震災の津波の印象も強いでしょう。東日本大震災での死因の9割以上は、溺死だったといいます。ただ沿岸部でなく都市型地震の場合、リスクが大きいのは家の倒壊の方です。阪神・淡路大震災での死亡者のうち、8割は家屋・家具類の倒壊による圧迫死でした。居住地のリスクを把握したうえで、自宅の耐震化や家具の固定などを進めておくことも大切です。
3. リスクを把握したら火災保険・地震保険の準備を!
自分の暮らす家近辺のリスクを把握したら、保険で必要な補償を準備しましょう。その際、家計と保険料のバランスをとることも大切です。保険会社のサイトで、補償と保険料をしっかりとチェックしておきましょう。
最近では、ハザードマップ情報を保険料に反映させた保険も登場しています。たとえば楽天損保の火災保険「ホームアシスト」では、国交省のハザードマップを基に水災リスクが4つの区分に細分化され、リスクが低いところに住んでいると保険料はリーズナブルになります。リスクが低いところに住んでいる人は、こういった保険も選択肢の1つに上がってくるかもしれません。
いっぽうで、地震で起きた火災や津波による損害は火災保険では補償されないため、地震による被害の補償は地震保険に加入してカバーする必要があります。地震保険の保険金額は地震保険に関する法律により「火災保険金額の50%」が上限とされていて、いざというときに補償が足りない可能性もあります。
保険会社によっては、火災保険の特約で補償額の上乗せができるものもあるので、地震への備えを手厚くしたい人は、そういった商品を選ぶのも手でしょう。
4. まとめ:自宅周辺の災害リスクを確認しておこう
最近は大きな自然災害が起きる頻度が高まり、公的な支援だけでは生活再建ができないケースも増えています。それに伴って火災保険の重要性も増していますが、保険を検討する前にを確認しておくとよいでしょう。この機会にぜひ、ハザードマップの確認をしてみてください。
また、家族で避難ルートについて話し合ったり、バラバラの場所で自然災害に遭った場合の集合場所を決めておいたりすると安心かもしれません。職場で被災したときに備えて、帰宅ルートや職場近辺の避難場所についても確認しておきましょう。家の耐震化や家具の固定など、事前対策を進めておくとより安心です。
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