火災保険

公開:2021.08.31

更新:2022.09.29

火災保険の基礎知識:再調達価額と時価額の違いとは?

火災保険の建物を評価する際には、再調達価額時価額という2つの基準があります。最近の火災保険は再調達価額での契約がほとんどですが、保険料率自由化がされる1998年以前の古い火災保険では、時価額での契約になっているものも少なくありません。

再調達価額と時価額では、保険金の支払いに大きな違いがあり、時価額のままにしていると、万が一のときに必要な金額を得られないことだってあるのです…。昔に火災保険を契約してそのままにしているような場合は、ぜひ契約内容を見直してみましょう!

1. 再調達価額と時価額|この基準で保険金の支払いが大きく変わる!

火災保険の保険金額は、契約時の評価額を基にして設定します。建物を評価する際の基準は、大きく分けて以下の2つの方法があります。

①再調達価額(新価)
保険の対象となる建物と同じもの(構造・質・用途・規模・型・能力など)を新たに建築する場合に必要となる金額をベースとした評価額のことです。再調達価額を基準に保険金額を設定すれば、火災などで住宅が損壊したとしても、損壊した住宅と同等の住宅を建て直すために必要な保険金を受け取ることができます。
時価額と比べると保険料は高めですが、万が一のリスクに対する安心度は格段に上です。

②時価額
再調達価額から年数経過・使用による消耗分(減価)を差し引いた金額をベースとした評価額のことです。時価額を基準に保険金額を設定すると、火災などで住宅が損壊したとしても、住宅の取得価格から年数経過などによる減価を差し引いた金額しか受け取ることができません。
損壊した住宅が建築後数十年経っていて劣化が大きかったような場合は、受け取る保険金だけで同等の住宅を建て直したり、新たに買い替えたりすることができないケースも多くなります。

2. 再調達価額で契約すると同等の建物を再建できる!

再調達価額(新価)の場合、例えば3,000万円で買った住宅が年数の経過で劣化したとしても、3,000万円の保険金を受け取れるので、資金の心配はいりません。

時価額の場合、例えば3,000万円で買った住宅が年数の経過で1,500万円の評価額になっていた場合、受け取る保険金は1,500万円になります。

時価額で契約してしまうと、被災後に同等の住宅を建てるには、自分の貯蓄などからお金を出さなければならないのです。

ちなみに地震保険は火災保険の保険金額の30~50%までしか設定できません。たとえば、火災保険で建物に2,000万円の補償をつけたとき地震保険の補償は最大で1,000万円までになります。

火災保険の補償は地震保険にも大きく影響してくるため、地震保険に加入する場合は、元となる火災保険からきちんと考えましょう。火災保険の保険金額が時価額だと、地震保険での受取額もそれに応じて少なくなり、損害をカバーできないということにもなりえます。

3. 再調達価額の算出方法|2パターン(新築でない場合)

建物の再調達価額を正しく算出するには、建物の建築価額、建築年、延床面積、世帯主の年齢、家族構成などの情報が必要になります。

建物が新築物件の場合には、その建築価額がそのまま再調達価額となります。ただし、建築価額には土地代を含めないため、不動産の購入価額から土地代を差し引く必要があります。

いっぽう、建物が新築物件でない場合の再調達価額の算出は、建物を建てた年や当時の建築価額が分かる場合と分からない場合によって、以下の2通りがあります。

①年次別指数法(取得価額法)
建物を建てた年や当時の建築価額が分かっている場合、新築した時点から現時点までの価格変動率を乗じて再調達価額を算出する方法があります。この方法を年次別指数法(取得価額法)と呼び、再調達価額は、新築時の建築価額 × 価格変動率で計算します。

②概観法(新築費単価法)
建物を建てた年や当時の建築価額が分からない場合、建物に使われている材料などで定められた1m2あたりの標準的な単価(新築費単価)に建物の延床面積を乗じて、再調達価額を算出する方法があります。この方法は概観法(新築費単価法)と呼ばれ、再調達価額は、新築費単価 × 延床面積で計算します。

4. まとめ:火災保険は再調達価額で契約を!

万が一のリスクに備えて加入する火災保険は、「もしも大きな自然災害などで住宅に損害が出た場合、きちんと建て直せるか」を考えることが大切です。建物や家財の評価額は、再調達価額を選びましょう。時価額ベースで契約することは今ではほとんどありませんが、もし保険料が安いと聞いてそちらを選んでしまうと、万が一の時に後悔することになるかもしれません…。

せっかく火災保険に加入しても、いざというとき役に立たなければ意味がありません。建物の評価基準と保険金の関係についてきちんと理解しておきましょう!

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株式会社 回遊舎(編集・制作プロダクション)

金融を専門とする編集・制作プロダクション。多数の金融情報誌、ムック、書籍等で企画・制作を行っています。保険、身近な家計の悩み、投資、税金、株など、お金に関する幅広い情報を初心者にもわかりやすく丁寧に解説します。

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