「両親が亡くなり空き家を相続した」「転勤で自宅が空き家になった」といった理由で、火災保険をどうするか悩んでいませんか?
何年も人が住んでいない空き家は、一般の火災保険に加入できません。この場合、2つの解決策があります。
- 大手損保会社で取り扱う空き家用の火災保険に加入する
- 不要な家であれば、不動産会社に売却や土地活用の相談をする
いっぽう、転勤などで一時的に空き家になっているだけの場合は、火災保険に加入することができます。
この記事では、現在の日本の空き家状況などを踏まえ、空き家でも加入できる火災保険の紹介と、空き家となった土地・建物の有効活用の方法について解説します。
目次
1. 30年で2倍以上に増加!846万戸の空き家が全国に
まず、全国に空き家がどのくらいあるのかを見ていきましょう。総務省が5年に一度実施している「住宅・土地統計調査」によると、総住宅数に占める空き家の割合は1988(昭和63)年には9.4%でしたが、1998(平成10)年の調査で10%を突破して11.5%に、2008(平成20)年には13.1%と上昇を続け、直近の2018(平成30)年の調査では13.6%と過去最高を更新しました。
空き家の実数で見ても、1988年は394万戸にとどまっていたものが、1998年には576万戸に増加、さらに10年後の2008年には757万戸、2018年には846万戸と、一貫して増え続けています。30年間で増えた空き家は452万戸、およそ2.15倍にものぼります。
2. 「空き家」の定義とは?
では、「空き家」とはどのような建物のことを指しているのでしょうか。住宅・土地統計調査では、居住世帯のない住宅のうち、昼間だけ使用していたり、何人かが交代で寝泊まりしている家屋を除いた以下のような住宅を、「空き家」と定義しています。(※2)
ひとつは「二次的住宅」です。普段は人が住んでおらず、週末や休暇時に使用される別荘のほか、自宅とは別に、残業で遅くなったときなどたまに寝泊まりをする人がいる住宅のことです。こちらは、1988年時点で30万戸、2018年は38万戸と、大きく増加してはいません。1988年の234万戸から30年間で461万戸まで増えたのが、「賃貸用の住宅・売却用の住宅」。これから貸したり売ったりするために、空き家になっている状態の住宅です。
そして、1988年に131万戸、2018年には約2.65倍の347万戸まで増加したのが、「その他の住宅」です。住んでいた人が亡くなったり、転勤や入院などの理由で居住世帯が長期間不在になっている住宅や、建て替えなどで取り壊す予定の住宅のほか、空き家かどうか判断が難しい住宅も含まれます。
(出典)国土交通省 空き家対策について 令和元年5月
3. 空き家が抱える火災のリスクと加入できる保険の種類
空き家が常に抱えているのが、火災のリスクです。漏電による火災や、不法侵入者による火の不始末、放火による火災などの不安があります。空き家でひとたび火事が起きれば、焼けた建物や家財の処分・解体にお金がかかるのはもちろん、近隣に延焼した場合は失火見舞金を支払うケースもあります。こうした費用をまかなうために、空き家であっても火災保険には加入すべきでしょう。
火災保険は、保険の対象となる建物の用途によって、加入できる商品が異なります。用途は、一戸建てやマンションといった居住のために使う住宅物件、事業所など居住ではない目的で使う一般物件に分けられます。常に人がいるわけではない一般物件のほうが火災リスクが高いため、保険料はやや高額に設定されています。
空き家の多くは住宅として建てられたものですが、火災保険の対象としては一般物件とされる場合が多くなっています。ただし、別荘のように定期的に寝泊まりをしている建物や、転勤などで一時的に人が住んでいない建物など、住居としての機能を持っているか、将来居住する予定があるのであれば、住宅物件として加入できる場合もあります。どちらに該当するかは、各保険会社が設けた基準や、空き家の状態/管理状況によって異なります。
4. 住宅向け火災保険の継続はNG!売却や土地活用も一つの手
居住していた建物が空き家になるときに、加入中の火災保険をそのまま継続することはできるのでしょうか。前述のように、居住者がいない建物は一般物件とみなされることがほとんどであり、その場合は住宅物件向けの保険に加入し続けることはできなくなります。
このことを知らずにいると、たとえ保険料を払って形のうえでは保険が継続されていても、いざ火災が発生したときに予期せぬトラブルが生じてしまいます。住宅物件としての要件を満たさない建物が火災になっても、保険金が支払われないおそれがあります。居住する人がいなくなる場合は必ず保険会社に連絡し、一般物件向けの火災保険に切り替えるなどの対応をしましょう。
また、当面空き家に居住する予定がなく、「いつか使うかもしれないから…」とそのままにしている場合、定期的に空き家の管理や修繕をしなければなりません。これらの負担が重いようであれば、思い切って手放す選択をするのもよいかもしれません。不動産会社に、売却や土地活用の相談をしてみるのも手です。
5. 空き家でも加入できる火災保険
続いて、空き家でも加入できる一般物件向けの保険をご紹介します。
保険料を安く抑えるなら、火災や落雷など基本的な補償内容に特化した普通火災保険がおすすめ。さまざまなリスクに備えたいという人は、水害や盗難などに対する補償も加えられる総合保険を選ぶとよいでしょう。
6. まとめ:空き家でも火災保険は加入必須!思い切って手放す選択肢も
空き家になっている建物は、住宅物件向けの火災保険の対象にはならないことがあります。その場合は、大手損害保険会社を中心に扱っている一般物件向けの保険に加入することになります。別荘や、転勤などで一時的に居住していないような建物であれば、住宅物件向けの保険に入ることが可能です。
今後も空き家を残しておきたいと考えるなら、日々の管理や防犯対策とともに、火災保険の加入は必須となります。「保険商品が多すぎて選べない」「どれが自分にあっているかわからない」という人におすすめするのが、火災保険の専門家が多数在籍する「ライフプラザパートナーズ」。お近くの店舗、もしくはオンラインで無料相談できます。
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一方で、年々老朽化していく空き家には、火災以外のリスクもあります。倒壊したときなど、最悪の場合、賠償責任を問われかねません。先に述べたように、空き家に住む予定がなければ、思い切って手放すという選択肢もあります。
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