火災保険とは、読んで字のごとく火災による損害を補償する保険ですが、どのようなものが「火災」として扱われるのでしょうか。今回は、火災保険の基本補償の火災について、補償内容を詳しく見ていきます。
目次
1. 火災の原因1位は「たばこ」!
総務省の「令和3年消防白書 」によれば、令和2年中の出火件数は34,691 件。そのうち失火による火災は全体の75.6%。
火災の多くは、火気の取り扱いの不注意や不始末から発生しています。 出火原因別では「たばこ」が最も多く、次いで「たき火」「こんろ」となっています。
火災の原因トップ5
1位…たばこ(3,104件)
2位…たき火(2,824件)
3位…こんろ(2,792件)
4位…放火(2,497件)
5位…火入れ※(1,684件)
※植物を保護するために草原の枯草を焼き払うこと
出典:総務省消防庁 令和3年度 消防白書
消したと思ったたばこの火が残っていてそのままゴミ箱に放り投げた、たき火やこんろの火を消し忘れた、など「つい、うっかり」には要注意です。
2. 火災保険における「火災」の範囲とは?
一般的に「火災」とは、人の意図に反して発生・拡大した、または放火により発生した、消火の必要がある燃焼現象のことを指します。そのため、例えば燃えているストーブそのものや、火のついたタバコを絨毯の上に落として一部を焦がしてしまった場合などは、火災に該当しません。火が拡大した状態になってはじめて、火災として認識されます。
火災保険において「火災」として扱われるものは、次のようなものがあります。
- 放火によって建物が全焼した
- 隣家の火災から延焼し、建物が半焼してしまった
- 天ぷら油が鍋に引火し、台所の壁を焦がしてしまった
3. 火災保険の全焼とはどんな状態?
火災保険で保険金の全額が支払われるのは、対象の建物・家財が全損(全焼)となったときだけです。ただし火災保険でいう全焼は、私たちがイメージする「完全に焼け焦げた状態」を指すわけではありません。保険会社によって違いはありますが、以下の場合は、基本的に全損(全焼)扱いとして保険金が全額支払われます。
- 修理、再建築、再取得のための金額が保険金額を上回った場合
- 延面積の80%以上が焼失または流出した場合
- 損害額が保険金額の80%を超えた場合
ちなみに全損となって保険金を全額受け取ると、契約期間の途中であっても火災保険の契約はそこで終了になります。そのため、全損後に住宅を建て直した場合には、新たに火災保険に加入する必要があります。
では、建物が部分的に焼けた場合の保険金はどうなるのでしょうか?
火災保険は、半分焼けたら保険金額の半分、30%焼けたら保険金額の30%といったような、焼損の割合で保険金が支払われる仕組みではありません。現在販売されている火災保険の多くは実損払い方式で、契約時に設定した保険金額を上限として、損害額分の保険金が支払われます。
しかし保険金の支払方法が比例払い方式だった場合、契約時に設定した保険金額が建物の評価額よりも小さい(一部保険)ときは、実際の損害額よりも少ない保険金額が支払われます。
【例】実損払い(保険金額:1,000万円で契約した場合)
火災によって建物の一部が焼けて損害額が500万円となった場合、500万円が保険金として支払われます
※実損払いの場合は一部保険でも、設定した保険金額までは実際の損害額が支払われます
【例】比例払い(建物の評価額:1,000万円/保険金額:700万円で契約した場合)
火災によって建物の一部が焼けて損害額が500万円となった場合、建物の70%にしか保険をかけていないことになり、支払われる保険金は350万円となります
※一部保険についてくわしくはこちら
4. 火災でも保険金が受け取れないケースとは?
火災で家が焼けてしまっても、それが故意であったり、火事を起こした人の重大な過失であると判断された場合には、保険金を受け取ることはできません。重大な過失にあたるかどうかは、案件毎で判断されます。
【重大な過失にあたる事例】
- 点火中の石油ストーブの近くに蓋をしていないガソリン入りのビンを置いており、そのビンが倒れて火災が発生した
- 寝たばこの危険性が分かっていながら喫煙を続けて火災が発生した
5. 地震による火災は火災保険の補償対象外
火災保険について注意しておきたいのが、地震を原因とする火災は火災保険では補償されないということです。地震が原因で起こった火災は、地震保険への加入で初めて補償されます。
大規模地震が起こると、ガス管や電気配線の破損、器物の転倒・落下等により、火災が多発する恐れがあります。必要に応じて地震保険の加入を視野に入れましょう。
6. まとめ:火災保険で自分の家を守ろう!
火災や自然災害などによる損害を補償する火災保険。今回は火災の補償について解説しました。自分の家をしっかり守れるように、火災保険に加入しておきましょう。
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火災保険
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株式会社 回遊舎(編集・制作プロダクション)
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